第5回(2020年)審査結果&講評

 コンクールでしか伸びないもの。フラメンコは人と競うものではないから、今いる場所から自分で一つ一つ進んでいくために、このコンクールを利用してほしい。終演後フアンが言ったように、ここで踊ったということ自体がそれぞれの賞でありますように!

また、病をおして審査してくださった山本淳子先生、本当にありがとうございました。淳子永遠なれ‼

 

優勝    3番 新美左智子

Juan Polvillo賞   9番 関口知世 

山本淳子賞       7番 橋爪潤子 

津川英子賞          9番 関口知世 

石川慶子賞          7番 橋爪潤子

観客賞                 6番 岡村志帆、 7番 橋爪潤子 

 

≪津川英子講評≫

 1番福井直子さん

 

トップバッターで緊張したと思いますが、しっかり視線を定めて堂々と舞台に出てくるところが好印象でした。
始めの見据える視線が良かったのですが、曲が進んでいってもそこがあまり変わらず、変化がなくなって見えたのが残念でした。踊るときの視線を研究してみてください。あとは、もう少し胸が上がった状態の姿勢を心掛けること、全体の強弱、タラントとタンゴのノリの違いなどをほりさげていくとよいと思います。全体的に振りをしっかりと踊っていました。

2番北村亜紀子さん
出てくるときは溌剌としてとても良かったです。そのあとにさらにもっとメリハリがつくといいですね。上半身でどれくらいリズムを出せるか、(ブラッソの強弱、ひじのポジションなど)考えてみてください。
所々、大事なレマテが走ってしまい、リズムが外れてしまうのが残念です。メトロノームなどで、その少し前の振りから繰り返し体になじむように練習されるとよいと思います。

3番新美左智子さん。
トータル的にバランスの取れた安定感のある踊りでした。
足に力が入ると、顔が前に出てくるのが気になりました。力の入るポイントをもう少し下の方(おなかの辺り)を意識すること、胸を上げることを意識して練習してみてください。
ソレアなどゆっくりの曲はコンパスの感じ方がよく見えるので、アクセントに向かう線を感じ、それが見えるマルカールを目指して頑張って下さい。

4番都竹佐衣子さん
堂々と踊っていて好感が持てました。時々口が意識なく開いている時があり、少し気になりました。あと、足で刻んでいるリズムに対してブラッソのリズムが遅れて見えるので、上半身から足にリズムがつながる意識を持って練習してみてください。
あと、マントンシージョのフレコが腕に絡まったり頭に絡まったり、気になりました。ご本人が気にならなくても見ている人には気になることもあります。
本番通りの衣装を身に着けてしっかりと練習することも大事だと思います。

5番前智美さん
全体的に体に力がかなり入り、体のリズムも前のめりに見えてしまいます。ソレアのコンパスをもっと意識してアクセントを長く、そこにつながるようなマルカールを意識してください。
表情はとても良かったです。
止まる所がしっかりと止まれていないように見えるのも、力の入る場所が少し違うからかもしれません。ブレリアのマルカールも腕と足ではなく身体でそのノリが出せるように練習頑張って下さい。

6番岡村志帆さん
足のリズムがしっかりしていてよいです。
それに加えて、レマテの時にもう一段強さが出るとよいと思います。
身体で見せる強さも研究してみてください。あと、表情を過度に作りすぎているように感じました。その時その時の体の動作とのバランスがとれていないと、説得力に欠けてしまいます。時々、振付をなぞっているように見えるところがあるので、全編を通じて振付のみではなく、自らの意思も持って動くことを意識して練習してみてください。

7番橋爪潤子さん
昨年よりとてもよくなりました。強い印象です。力の入れどころが違うせいで、強い動きになると背中が丸くなり、顔が前に出るのが気になります。外側への力を意識するとき、それと同じ量の力を内側に向かっても使えるようになるといいですね。
強弱の幅がもっとついて良くなると思います。
アクセントとアクセントをつなぐ線の動きをもっと見せてもらいたいと思いました。

8番中尾春香さん
ソレアのコンパスの流れをしっかり体で出せるようになるといいです。
リズムを入れるところが、前からの流れからつながるのではなく、そこだけを狙っている感じなのでうまく乗れていないように思います。何かを待つのではなく常にその瞬間瞬間に集中して踊ることを心がけてみてください。
胸が上がっていて姿勢がとてもきれいです。緊張のせいか、表情の変化が感じられないのが残念でした。
表情、視線の研究をたくさんの人の踊りを見るなどして研究してみてください。

9番関口知世さん
とても緊張されていましたが表情もよく丁寧に始まりました。楽しいガロティンで見ていて私も楽しくなりました。ただテンポが速くなってくると動きが雑に見えてくるので一つの動きから次の動きにうつる繋がりの部分をしっかり踊れるように意識してみてください。足と体の両方緩急がもっとつくとよいと思います。タンゴのところなどもっと腰の表現等も研究してみてください。
(津川英子賞に選出)

 

全体を通して
皆さん本当にお疲れさまでした。
全体的に、気合のせいか身体に力が入りすぎている方が多かったように思います。呼吸を意識して力が抜ける部分ができると緩急の幅が広くなり、見る人をもっと引きつける踊りになるように思います。

 

 

 

 

≪石川慶子講評≫

 

福井直子

 

最初の音からアクセントもよく、マティサールされている。タラントの雰囲気もよく出ている。惜しむらくは上体の表現が一辺倒になってしまったこと。また大きい体を使いこなせていないこと。しかし技術も高く、理解も深い。トップバッターでなかったら優勝に絡んでいたかも。少し冷たい感じもするので、人となりが見えるところがほしい。

 

 

 

北村亜紀子

 

可愛らしいアレグリアス。しかし衣装や髪のしつらえなどがグアヒーラにも見える。様々な曲種を踊っていくことでまたフラメンコの理解が深まるのではないだろうか。「フラメンコが好き」というひたむきな気持ちが伝わってくるので、これからも経験を積んでフラメンコに対する理解や、自身の表現を追求してほしい。

 

 

 

新美左智子

 

アクセント、圧力、静と動など技術が高く、安定感がある。またドラマチックな美しさがある。しかしカンビオを走ったり、どこを向いているのかわからないなど、1人で踊っているのではと言うような場所も多く、フラメンコへの理解が足りない。お客様に愛されるようになるためには、まず自分が丸裸となってお客様のことを愛すること。

 

 

 

都竹佐衣子

 

真摯に踊ったが印象に残らない。長すぎるフレコに踊りが邪魔されている。また、構成にここぞというキメのポイントがなく、散漫な印象。踊れる人だし、フラメンコ感を持った人だと思うが、どういう風に表現したら他人に伝わるのかを一番に考えてほしい。

 

 

 

前智美

 

強すぎるがひたむきなソレア。マルカールが拾い上げずに捨てている印象になってしまうのが残念。力で足を打つと体がこわばってしまう。より自然な技術を身に着けてほしい。また、フラメンコ愛が強い人だからこそ、ソレアは直接的な苦しみ、悲しみというよりも、一生消えない、自分の中に残ってしまった喪失とそこに立ち向かう凛とした精神を表してほしい。

 

 

岡村志帆

 

重心が低く、情感のこもったソレア。しかし、これくらいのサイズの舞台で小さく見えるというのは踊り手に取ってマイナス。エネルギーを開催地の最寄りの駅まで飛ばすようなイメージを持ってほしい。衣装もソレアというよりはタラントか。彼女のタラントを見てみたい。表情が良いのでそれを支える技術の拡充を。

 

 

 

橋爪潤子

 

クネクネしたり、回転しきれなかったり、技術的にはまだまだ。しかし人の心を打つものがある。フラメンカ。今後はフラメンコに対する理解と、どうして「フラメンコでなくてはいけないのか」を追求し、自分の踊りを確立してほしい。一緒に舞台に立つ相手を活かすような、お客様に何かを与えられるような、そんな踊り手になってほしい。

 

 

中尾春香

 

2歌のタメが美しかったがそれ以外で不安定になってしまった。気持ちも焦ったか。基本的に他者の存在が薄く、一人で踊ってしまうので、バックアーティストとお客様への信頼がもっと必要だと感じる。「上手に甘える」のは苦手なフラメンカが多いけれど、それがないと共感に至らない。衣装も再考を。

 

 

 

関口知世

 

ガロティンらしいガロティン。難しい足をやらずにもっと自信を持って挑めば優勝もあったかも。振りに助けられたところがたくさんあったので、これからもこのガロティンを大事に踊り続けていってほしい。その中で、回転や足などの技術を磨き、さらに、緊張を超えて、お客様にストレートにフラメンコを届けることなどを課題にしてほしい。

 

 

 

 

 

第5回「名古屋未来のフラメンココンクール」×ライブ「PRINCIPITO vol.6」

2020.2.9()

 

1800開場 1830開演

 

限定80名 ¥5,000

第一部 1830

 第五回「名古屋未来のフラメンココンクール」

 レッスンで伸びる、発表会で伸びる、そしてコンクールでしか伸びないものもある。新人公演やマルワは無理だけど、何か目標を持って頑張りたい方。特に、ソロで踊りたい方が対象。

 

◇審査基準:各審査員に一任。技術、フラメンコ性、表現力など、審査員がいいと思った人を独断と偏見で選びます。選ばれなかった人にも、全員に審査員の先生から講評が届きます。ぜひ今後の参考にしてください。

 

◇審査員:Juan Polvillo、石川慶子、山本淳子、津川英子、観客の皆さま 

 

◇賞:

優勝 ESUDIO KEIKO4回生徒公演ソロ出演+個人3時間無料

Juan Polvillo クルシージョ無料受講

石川慶子賞 オープンクラス3時間無料+個人2時間無料

山本淳子賞 マントン

津川英子 

観客賞   特選フラメンコグッズ

 

◇参加費 ¥15,000+チケット8

(オフィシャルアーティストを申し込む場合は別途エンサジョ代)

 

◇自由曲1曲(7分以内)。CD、テープ等による参加は認められません。 

◇参加申し込み 

090-9906-6533(石川)、EstudioKeiko2012@gmail.com